退職の日を迎え、愕然とし、絶望感にとらわれるのだ。「いったいこれから、何のために生きていけばいいのか」-著書、世界一孤独な日本のオジサンより抜粋
野村克也さんがお亡くなりになりました。
野村克也さんは「男は弱くて、一人では何もできません。絶対に奥さんより夫が先に死んだほうがいい、その事を今、痛感しています」と妻のサッチーが亡くなった直後に述べていました。
サッチーが亡くなって2年後に野村克也さんもお亡くなりになりました。
まさに妻に先ただたれた高齢男性の孤独死ではないでしょうか。
仕事を定年退職したが、時間を持て余し、寂しくて仕方がない、今こんな人が急増しています。
私も63歳でリタイアした身であり、身につまされる思いです。
人を頼りにせず、自分で行動を起こすしかないのです。
私が意識している事は、自宅に留まらず外出することです。
カフェやブックストアーに行って時間つぶす。
そんな時に書店で自分のことだと思い購入した著書が紹介する「世界一孤独な日本のオジサン」です。
著者は高齢男性の孤独を研究している岡本純子さん。
岡本さんは、企業やビジネスプロフェッショナルの「コミュ力」強化を支援するスペシャリストでもあります。
私は、無口な方でコミュ障の傾向あり、何かヒントがあればと思い購入しました。
著書にはこんな一節がありました。
米国、ブリガムヤング大学のホルスラット教授の研究で孤独のリスクは、①1日タバコ15本に匹敵、②アルコール依存症であることに匹敵、③運動しない事よりも高い、④肥満の2倍高い、と結論づけた。-著書、世界一孤独な日本のオジサンより抜粋
健康に良い食事に配慮し、習慣的に運動を継続し、健康管理に細心の注意を払ったとしても、
「高齢男性は孤独であること」
それだけで病気や死のリスクが大幅に高まるというから驚きでした。
本当に怖い話です。
高齢男性おばちゃん化のすすめ「世界一孤独な日本のオジサン」
本の概要
「先進他国に比べ日本のオジサンが孤独になりやすい要因」
「いったん孤独になるとなかなか抜け出すことが難しい」
「病気や死のリスクが大幅に高まる」
など、リタイア後のオジサンが孤独にならないためにはどうすれば良いのかが書かれています。
こんな高齢男性に読んでもらいたい
●リタイア後に不安を抱えている人
●定年退職前で仕事の忙しく、リタイア後の事をじっくりと考える余裕がない人
●プライドが高く自尊心が強く人の世話になりたくないという気持ちが強い人
●人と付き合うのが面倒、こちらから声をかける気がしない人
●挨拶したら相手は迷惑ではないかと考える人
●常に自分がどう見られているか気にする自意識過剰な人
●こう言ったら、こうゆうことをしたら、迷惑になるのではと考える人
●自分の幸せだけを追求する人
以上ですが、私には殆どの項目が当てはまります。
孤独な高齢男性が生まれる原因
「ペラペラしゃべる男なんてろくなもんじゃない」。そんな気風の中で、「孤高」であることが美化されてきた。高倉健のように無口で「群れない」人が、男らしく、究極的にかっこいい、そんな固定観念が根強いように感じる。」-著書、世界一孤独な日本のオジサンより抜粋
本著の通り私と同じ現在の高齢男性の世代は、青少年期に高倉健や渡哲也などの口数が少ない男優にあこがれ、かっこいいと思っていました。
私が子どもの頃の家庭でも長電話をする母に父が「余計なことばかり話して、伝えたいことだけ話せば良い」と叱っていたのを思い出します。
その頃からだんだん男は無駄口をたたかず、口数を少なくして簡潔であるべきだと考えるようになっていきました。
当時は、男性だけでなく、女性も含めて世の中全体に男は無口であることが男らしく、かっこいいというイメージが出来上がっていました。
母も「どこそこのご主人は良くしゃべるから、男らしくない」などと批判していたのを覚えています。
特に都会暮らしは核家族化が問題視されて久しくなりますが他人との関わりを少なく生きる習慣が出来上がりました。
それはそれで、煩わしさから開放されるメリットがあります。
しかし、反面で人が一人暮らしになり社会から孤立するリスクをはらんでいます。
高齢男性達は、隣近所や地域社会とのお付き合いを妻に頼って一任してきました。
社会とつながる頼みの綱であった妻に先立たれれば、多くの高齢男性が孤立し、その延長として孤独死のリスクが高まります。
年間の孤独死が約3万人と推計されています。
言葉にしなくても伝わる。島国日本はこうした考え方が根強い。「沈黙は金なり」「以心伝心」「口は災いの門」そして「斟酌」に「忖度」、さらに、CMで有名になった「男は黙ってサッポロビール」。いったい、どれくらい、同じような言い回しがあることか。-著書、世界一孤独な日本のオジサンより抜粋
社会に変化が生じたのは、経済がグローバル化され始めたころでしょうか。
欧米型の経済や文化がどんどん輸入されるようになってから、自分の意見をはっきりと述べて自己主張をする人が増えてきました。
しかし、多感な青少年期に心の根底に植え付けられた男は無口であるべきという考え方はオジサンになってそう簡単に切り替えられるものではありません。
高齢男性はおばちゃん同士の会話に耳を傾けるべし
これは、全く筆者の肌感覚でしかないが、男女で比べた時、女性は若い時より、おばちゃんのほうが、「恥ずかしい気持ち」が薄まり、外向きの引力が働き、外向き的になるが、男性はその逆で、年を取るほど、特にリタイア後など、内向きの引力に引き寄せられるように、内向化する人が多い印象がある。-著書、世界一孤独な日本のオジサンより抜粋
多くのおばちゃんは例え初対面の人であっても、相手とすぐに打ち解けます。
昔からの親しい友人であるかのごとく、会話を楽しむことに長けています。
男性同士の初対面では、会話は弾まず、沈黙が続くことも多いです。
なかなか打ち解けられず、会話を続けるのが困難になることもあります。
そこで高齢男性は、おばちゃん同士の会話に耳を傾けてみてはどうでしょう。
どんなことを話しているのか聞いてみるのです。
何か会話を続けるヒントが得られるかもしれません。
おばちゃん同士の会話は、うるさくて聞きたくないと心の耳に栓をしている輩も多いと思います。
おばちゃんたちは、楽しそうに和気あいあいと会話を楽しんでいる、きっと会話のヒント、糸口があるかもしれません。
孤独にならないためには一歩前に進み出る
孤独な人に誰かとつながれというのは、肥満の人にやせろと言うのと同じ、自らがつながろうと言う意欲を持ち、努力するための動機づけが必要。-著書、世界一孤独な日本のオジサンより抜粋
高齢男性になってから、生き方や考え方、性格を変えるのはかなりの困難が伴います。
しかし、孤独は死のリスクが高いことが欧米の様々な研究で明らかにされています。
日本では国も地方自治体も孤独なオジサンをケアするシステムを殆ど持っていません。
本著を読み終えて、孤独から抜け出すには、外からの刺激に対する受け身だけではなく、自分から一歩前に進み出る努力が必要だと思いました。
世界一孤独な日本のオジサン「孤独に陥らないヒント」 まとめ
世界一孤独なオジサンになったのは日本の昔から文化が根底にあるが、その上にプライド、ダンディズム、何とも面倒くさい「男の沽券」「こだわり」「甘え」が絡み合っていて、幾重もの社会の制約や縛りにがんじからめになり、アリ地獄に落ちやすくなっているという。
本著は、孤独な高齢男性やその予備軍への応援歌であり、定年退職前の高齢男性達に現状を認識していただき、少しずつ変わって行きましょうと具体的に提案してくれる良書だと思います。
最後に本著に書いてあった孤独にならないための心の持ち方、行動を列挙しておきます。
○自分の幸せだけを追求しない。
○挨拶したら相手は迷惑ではないかと考えない。
○常に自分がどう見られているか気にする自意識過剰を止める。
〇目線を自分から相手へと180度変える。
○相手を褒める。
○自分の気持ちを抑えて相手の話を聞く。
〇8対2で8割は相手の事に関する話をする。
○蓄積したビジネススキルを生かして社会貢献する。
○子どもの頃の友達とつながる。
以上、すぐに取り組めそうなものから、少しハードルが高いものまであると感じました。
まずは、日々の心の持ち方を変える努力をし始めることが第一歩ではないでしょうか?
私は本書を拝読してから、もっとも多感な時期であった高校時代の友人とつながるようにしています。
定年退職前の高齢男性には是非とも読んで頂きたいと思います。
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